着物の里探訪記第三弾
きものの里探訪記第三弾 久留米絣の里 福岡県久留米市にて
久留米絣協同組合 理事長 田中寛さんを訪ねて
藍華 田中絣工房 | 理事長 田中寛さん |
きものの里探訪記第三弾は、遂に沖縄県を離れ、九州は福岡県久留米市 久留米絣協同組合の理事長である田中寛さんの工房を訪ねました。
【久留米市】
久留米市は福岡県南部の筑後地方の人口約30万人を擁する福岡県第三位の都市です。 また、久留米市は松田聖子やチェッカーズの藤井フミヤの出身地としても有名です。 特産品の一つに、豚骨ラーメンがありまが、なんと久留米市は豚骨ラーメン発祥の地でもあります。 もちろん、久留米絣が特産品であることは、言うまでもありません。
【久留米絣】
久留米絣は、江戸時代後期 井上伝という当時12歳の少女が創始したとされています。当時は久留米藩が産業として奨励していました。 久留米絣の特徴は、綿織物で藍染めが主体の先染めの織物です。 伊予絣、備後絣とともに、日本三大絣の一つとされています。
代表的な久留米絣 |
【絣糸作り】
糸を括り絣糸を作り、絣模様を作ります。 勿論、手で糸を括ります。一反分の糸を括るのにや1週間かかるそうです! 根気のいる作業ですね! また、括り糸に【あらそう】と呼ばれる大麻を使用していましたが、現在は当局の厳しい管理の下で栽培されていることもあり、数が少ないことから手に入り難くなり、昨今はナイロンも使われているそうです。 【あらそう】は手荒れしない、括りやすく解きやすいなど使い勝手がとてもいいそうです。 薬物と伝統文化を天秤にかけるのは良くないですが難しい問題です。
【藍染め】
土間に高さ約1mのかめがたくさん埋められています。 日本酒を加えて発酵させますが、地中は温度が安定しているので発酵させるにはいい条件が揃います。 また、原料の藍は良質なことで有名な徳島県産の阿波藍を使用しているそうです。 このようにして苦労して作られた藍染めの染料の寿命は約3週間です。 伝統を守って物づくりをするのは大変なことです。 伝統の重みを改めて感じさせられました。
藍染めのかめ | 原料の藍 |
【織り】
熟練した織り手により、先染めされた木綿糸は久留米絣へと姿を変えていきます。 絣を合わせながらの作業には感服します。 一反を織り上げるのに約一ヶ月の歳月を要します。 この後、検査を受けて合格した反物だけに『伝統的工芸品』久留米絣の称号が与えられます。
田中さんは、「昔ながらの絣模様だけではなく、伝統を守りながら新しい柄にも挑戦している」と力強く語ってくださいました。 『守るべきことはきちんと守り、変えるべきことは時代に合わせて変えていく』 これからの伝統工芸の進むべき道ではないでしょうか!
【編集後記】
8月の上旬に田中さんの工房を訪ねました。今年は猛暑で久留米はとっても暑かったです。 そのような状況の中、どうやって駅まで行こうかなと考えていた矢先、田中さんが最寄り駅まで送りましょうと仰ってくれました。 お言葉に甘えて、車で送っていただきました。 本当にありがとうございました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
これからも、久留米絣を応援します。田中さん頑張ってください。
和 店主
※この記事は2010年8月のものです!
2012-06-05 11:34